飛蚊症

ゴミのようなものが飛んで見える

硝子体の濁りが網膜に映った影絵を自覚したものです。年齢による変化は心配ありませんが、眼底・硝子体出血、網膜剥離など急いで治療を要する怖い病気が隠れている場合もあります。

散瞳薬で瞳を大きくして、精密検査が必要になります。 その後、2~6時間は車や自転車に乗ることはできません。

1. 飛蚊症とは

眼球の中央には、眼球容積の約80%(体積が約4ml)を硝子(ガラス)体というゼリー状の物質が占めています。通常は透明なため、視界に影響を及ぼすことはありません。加齢とともに溶解、凝固して小さな粒子や線維が存在すると(液化変性)、網膜に投影され、飛蚊症として自覚します。そのために、明るい場所や目を動かした時によりその影を強く自覚します。 

更に、網膜からゲル成分の硝子体膜が剥がれ(後部硝子体剥離)が発生すると、飛蚊症の自覚症状がよりはっきりしてきます。通常は無害であり、生理的飛蚊症と判断されます。急に自覚したり、気にすると消えないので不安になることがあります。

2. 飛蚊症の原因

飛蚊症の主な原因は以下のようになります。

  • 加齢:年齢とともにガラス体は変化し、老化や凝固が進むことで飛蚊症が発生することがあります。
  • 目の病気や手術:網膜裂孔や剥離、ぶどう膜炎や他の原因による出血や炎症など、目の疾患や、白内障術後など手術によっても飛蚊症が引き起こされることがあります。
  • 糖尿病網膜症:糖尿病による網膜の変化が飛蚊症を誘発することがあります。
  • 眼の外傷:目に外傷を受けることでガラス体に異常が生じ、飛蚊症が現れることがあります。

3. 飛蚊症の症状

飛蚊症の主な所見や自覚症状は以下のようになります。

  • 黒い点や糸状の物体の浮遊:視界の中に黒い点や糸状の物体が浮遊して見えることがあります。これらの物体は眼を動かしても一定の位置に留まります。
  • 白い点や点状の物体の浮遊:視界の中に白い点や点状の物体が浮遊して見えることがあります。
  • 透明なフローター:透明な影やフローターが目の前に浮かんで見えることがあります。
  • 群れとしての飛蚊症:一度に複数の飛蚊症が群れて見えることがあります。
  • 光のまぶしさへの過敏性:飛蚊症が光によって強調され、まぶしく感じることがあります。

4. 飛蚊症の治療

飛蚊症自体は治療が必要ない場合がほとんどです。飛蚊症の原因となる病態や疾患がある時は、その治療が大切です。特に、視力や視野障害につながる網膜裂孔や網膜剥離は速やかに治療が必要です。

  • 病態の治療:飛蚊症が網膜の裂孔や剥離、白内障などの病態に起因する場合、それらの病態の治療が行われることがあります。