弱視

1. 弱視とは

視力が成育する幼少期に、発達が障害されて、医学的には視中枢で視力を十分に発達させることができない状態を指します。

視力は、0歳児で0.01位ですが、3歳児になると大人並に成育してきます。しかも、この成育期間に左右差のない綺麗な映像を脳に伝えてあげることが大切です。しかし、これが障害されると、視力の成育が止まり、成長後も眼鏡矯正で視力が出ないことになります。これが弱視です。

3歳未満では正確な視力が測定できない年齢にあたりますので、屈折異常検査や斜視検査で弱視になる可能性が高い場合には、できるだけ早期(成育感受性の高い3ヶ月から18ヶ月の間)に眼鏡矯正を始めます。早期に治療開始することで矯正視力1.0を獲得できる可能性が大きくなります。

眼鏡矯正の目的は、弱視を作らないこと、学童期に「通常の教育を受けるのに困難なほどの低視力」を作らないことです。

2. 弱視の種類

1. 屈折異常弱視

定義:両眼に遠視・近視・乱視が強いために起こる

原因:遠視しかも高度(+6D以上)が多く、近視や乱視が強い場合にも発症します。

症状:遠視眼ではより近くが見えづらいので、目を細めることがある。

中等度遠視では近見時に調節性輻輳で内斜視が発現します

診断:一般眼科検査で目に異常なし 点眼薬(調節麻痺点眼薬)を用いて、より正確な屈折度を計測します。

治療:矯正眼鏡を処方します。年齢や屈折度の変化に応じて処方変更します。裸眼視力が1.0まで成育しても、眼鏡装用を継続する場合があります。

2. 不同視弱視

定義:屈折度の左右差のために片眼の視力障害が起こる

原因:屈折度の左右差が2D以上で起こりやすくなり、大きくなるほどに弱視発生率は高くなります。特に遠視眼では遠近方ともにぼやけた映像になるため、不同視では弱視になりやすくなります。

症状:視力の良い方の目で見ているので、自覚症状はほとんどない。3歳児検診や就学時検診で初めて発見されることが多い

治療:矯正眼鏡処方し、強制的に視力の良い方の目を遮蔽し、弱視眼を使うようにする。弱視が改善しても、両眼視機能成育目的で 眼鏡装用継続のことが多い。

3. 斜視弱視

定義:斜視眼からの映像が脳に伝えられないために、視力が成育していない。

原因:斜視。斜視眼では視線が視力に1番大切な網膜の黄斑中心窩からずれている。

診断:目に視力に影響を与えるような病気がない、斜視のために視力が出ない。

治療:良い方の目を遮蔽し、中心窩で見るように訓練する。視力の左右差が小さくなったら、斜視手術

4. 視性刺激(形態覚)遮断弱視

定義:乳幼児期に形態覚を遮断することで視力回復しない弱視

原因:先天性白内障、角膜混濁、眼瞼下垂(片眼、瞳の位置より下まで)、眼帯装用など

診断:視力が出ない、原因疾患あり

治療:原因の疾患の治療(視力回復は低い)、目の器質性疾患の除去