白内障 1. 白内障とは 白内障は眼科疾患の中でポピュラーな疾患であり、その患者数は全国で1000万人以上です。40歳以上で出現する老人性白内障が多く、日本では、50歳代で約4割、60歳代で6〜7割、80歳代以上でほぼ100%と言われています。いわゆる加齢性の水晶体の濁りが主な原因です。白内障は病気と思わず、年をとると皆出てくる「白髪」みたいな物と考えてください。 本来、目の中に光が吸収されると瞳孔=ひとみは黒く見えるが、水晶体が白く濁ると瞳が白く見えることから「白内障」と命名されました。 この水晶体は、カメラのレンズに相当する直径9mm、厚さ4mmの凸レンズで、 光を集め(焦点距離2.5cm位)、網膜に画像を映し、ピントを合わせる働きをします。 その成分は、タンパク質33%、水66%、ミネラル1%で、体の中で最もタンパク質の割合の多い所です。 2. 白内障の原因(と言われている因子) 老人性白内障は、老化による水晶体の新陳代謝が悪くなり、水分が減少し、水に溶けないタンパク質となり濁る?という説があります。その他には、先天性、紫外線、外傷による水晶体膜の破綻、糖尿病、アトピー体質、ステロイド、放射線などがあげられますが、数は少ないです。 先天性白内障では、眼が形成されていく過程で母親が風疹にかかった時にひまわり状の白内障心臓疾患が発症することから、妊娠可能な女性での風疹既往の有無やワクチン接種が注目されています。 3. 白内障の症状 水晶体の弾力性の低下によりピント合わせが下手になってきて、老眼を自覚する頃と一致します。 老人性白内障の濁りは、初めは周りから起こる事(車軸状)が多く、初期では視力への影響は少なく、ほとんど無症状であることが多いです。 濁りが中央まで及ぶと、視力が低下し、特に暗い所で見えづらくなります。 濁りが均等でない時には、水晶体の中で光が乱反射し、眩しくなり、単眼で二重、三重に見えます。 太陽光の下で白っぽく見えて字が読みづらいと訴えることもあります。濁りが黄色くなることもあり、色がセピア色に見えると言うが、色の変化に気づかない人が多いです。 レンズの中央(核)部が濁ると水晶体が厚くなり、近視化し、虹彩が押し上げられ眼圧上昇し緑内障になる危険性もあります。 白内障の進行は個人差や左右差があり、急に進行する事は少ないので日常生活に支障を感じる事は少ないです。 4. 白内障の治療 治療:点眼は治療の効果は期待できません。以前は「進行を遅らせる」目的で処方されていました。ピノレキシン製剤(カタリン、カリーユニ)等。内服で有効な薬剤はありません。手術が治療の中心です。 1年間に約100万人以上の手術が行われています。 現在最も行われている手術方法は、「水晶体超音波乳化吸引術+眼内レンズ挿入術」で、濁った水晶体を超音波で壊し、残った嚢の中に人工水晶体を挿入します。 点眼麻酔で手術をし、10分程度で終わり、その日に帰れる日帰り手術(術後しばらくは安静)が多く、最近では全白内障手術例の90%以上を占めます。 眼内レンズには単焦点、多焦点があり、仕事や生活のスタイルに合わせて選択します。 手術を受けた後、若い頃と全く同じように見えるわけではありません。眼鏡での補助が必要になることがあります。 簡単で安全と思われていますが、術後感染性眼内炎が生じることがあり、術後の受診と点眼治療が大切です。 本格的な仕事復帰は1週間が目安です。 術後3ヶ月は視力の変動があり。1ヶ月で眼鏡処方することもあります。 当科では白内障手術はしておりません。信頼できる眼科にご紹介します。 白内障手術を受けることで認知症発症リスクが30%低減するという報告もあります。 「手術」という言葉を聞くと「怖い」と思われるかもしれませんが、手術をお勧めします。 白内障ミニ情報 白内障手術(後藤の手術ビデオ)提示? 眼内レンズ 〈 種類 〉 単焦点眼内レンズ 一定の距離ではよく見えるが、それ以外の距離では見えづらい。 例えば、手元にピントを合わせた眼内レンズにすると、外出時に眼鏡必要 日常生活で1番見たい距離を選択する 多焦点眼内レンズ 手元、中間距離、遠方などの位置にピントが合うように設計されている。 単焦点より幅広い距離で見える 光の周りに輪がかかって見える現象(ハロー)や、眩しい(グレア)が起こる 生活や仕事によって使えるレンズが異なる 若い頃と全く同じに見えるようになるわけではない 〈 費用 〉 挿入するレンズの種類によって、各医療機関で異なります。 医療機関にお問い合わせください。