第6話 目薬は薬にも毒にもなるよ

一般に眼科で処方される点眼液は濃度が0.005~4%と非常に薄いが、薬品・化学物質の希釈液である。市販薬と比べて微量ではあるが、塩化ベンザルコニウムなどの添加物質も入っている。従って、目にとっては異物であり、害になる場合がある。殊に最近ではドライアイで涙の入れ替わりが悪くなるために目の中に溜まっている時間が長くなり、点眼液が「悪さ」し、角膜や結膜に治療に抵抗する炎症が持続する事がある。

特に市販薬には添加物質の量と種類が多く、使い心地が良く点眼後に白目が綺麗になる成分(血管を縮める成分)も含まれているものもあるので、目に「悪さ」をする成分も含まれている。

目薬を意外と安易に考えている人がいる。抗生物質やステロイド剤の内服に非常に神経質になる人でも、これらの成分の入っている点眼薬を平気で長期間点眼している。点眼液は体への影響は非常に少ないとはいえ、心臓循環系に「悪さ」をする点眼薬もある。あくまで薬であり、開封したら効き目が落ちるし、時にはばい菌の巣になったり、害になり副作用があること、最悪の場合には失明の危険性がある事を十分認識して使うことが大切である。

点眼瓶に記載されている有効期限は、開封しないでおける期限である。一旦開封してしまうと1週間から長くても1ケ月である。 効き目は落ちるし、雑菌が繁殖したり、成分が変化する事がある。各々の目薬で使用期限が異なる。

目薬の保存は10度~30度の温度が良いとされるが、高齢者で余り冷たい目薬を点眼すると、心臓など循環系に「悪さ」をするという記載もある。冷えた方が気持ちが良いと思っている人もいるが、凍らせてはいけないし、目薬によっては溶解濃度の関係で冷蔵庫に入れられない点眼薬もあるし、冷蔵庫で保存しなければならない目薬もある。冷蔵庫内では温度の差があるので、ドアやバター入れくらいの温度の所に目薬に付いているビニール袋の中に入れて衛生的に保存する。

数種類点眼する時には、目薬の効果を良くするためには点眼の順序がある。使う目的、薬の特徴により順番が異なる。処方医に相談しよう。

効き目を良くするために目頭を押さえたり、点眼後に目薬が瞼に残らない様に拭き取る必要がある薬もある。ふき取り際に乾いたガーゼでごしごし拭くと目の周りの皮膚を傷める。持ち歩いているハンカチでは衛生的ではない。お口やお尻拭きの濡れティッシュは消毒薬やアルコールが含まれているものも多く、目の周りを拭くのには適しない。薬局で「目の周りを拭く」と言って購入すると良い。

 

以上により、目薬は薬であり、正しく使わないと害になる。目薬が処方された時には、正しい保存方法や点眼法については医者や調剤薬局で聞いて使用する事が大切である。

もう一度強調したい。 目にとって一番の目薬は、『綺麗な、な・み・だ!!』なのです。