矯正異常の矯正方法には、眼鏡、コンタクトレンズ、レーザーで角膜を削る角膜矯正手術がある。 タイガーウッズが受けて有名になり、最近では雑誌、タクシーの中、地下鉄の駅、インターネットのホームページに近視矯正手術の宣伝広告が見受けられる。眼鏡を使いたくない、コンタクトレンズのケアが面倒くさいといった理由から手術を希望し、相談にみえる人がいる。
屈折矯正術の方法はいくつかある。LASIK(レーシック)の原理は、角膜をレーザーで削って薄くすることで近視の度数を弱くする手術である。
屈折矯正手術の成功率は、確かに以前と比べて視力矯正に対する満足度の点では85%を越え、安全性についても良くなってきた。しかし、まだ健康保険の適応にならないので、自費での治療となり、両眼で10万円~50万円かかる。この価格は自由価格であり、廉価表示もみられる。近視矯正手術を受けると若い時には眼鏡を使わなくても良いという便利さはあるが、いずれ老眼は出てくる訳で、早めに老眼鏡が必要となる事は否めない。東日本大震災後に希望者が増加したと聞く。
手術の合併症として、アメリカからの報告(Battat L et al: Ophthalmology 2001.)によると、「手術後に角膜知覚低下により刺激感が持続したり、眼球表面の知覚が正常に戻るのに数年はかかる」とある。この角膜知覚が角膜の栄養や涙の分泌に関与しているために、角膜の栄養不足やドライアイ様の症状がでたりする。このように何らかの自覚症状(乾燥感やかすみ目、違和感をふくめると)が約80%にあるという日本からの報告がある。
その他には、外圧に弱いので眼に打撲の可能性のあるスポーツ選手、眼圧計測値が低めに出るために緑内障の治療中であったり、家族歴に緑内障がありその治療の可能性がある人、角膜上皮バリア機能低下を来す糖尿病など全身疾患のある人、高度近視で網膜疾患(網膜剥離など)を来す可能性がある人はこの手術の適応外となる。
いずれにしてもあまりコマーシャルに乗せられないこと、欠点もあり、自分の希望(期待)通りの視力が出なかったり、屈折矯正術後の眼病の診療・治療は、何年経っても「自費」という事を忘れてはならない。失敗する事もあることなどから、レーザー治療の適応を決める際に専門医に相談し、十分検討・納得して治療を受ける事が大切である。